YoastSEOは、WordPressでSEO対策を行う際にまず使い方を押さえておきたい定番プラグインです。タイトルやメタディスクリプションの最適化から構造化データの管理まで、SEOに関わる多くの操作を一つの画面でまとめて設定できるのが特徴です。
ただ、実際に開いてみると設定項目が多く、どこから触ればいいのか分かりにくいという課題があります。初心者ほど“全部設定しないといけないのでは”と不安になり、結果として十分に活用できていないケースも少なくありません。
そこでこの記事では、プロが実務で使う部分に絞り、最初に行うべき初期設定から投稿時に設定すべき項目までを整理して解説します。必要以上に細かい設定に時間をかけず、SEO効果のある場所だけに集中できる構成です。
あわせて、Yoastのスコアに振り回されないためのポイントについても触れます。フォーカスキーフレーズや評価アイコンは便利ですが、それだけで検索順位が決まるわけではありません。実務では何を基準に改善すべきかを理解しておくことが大切です。
まずは初期設定から順に見ていきましょう。
もくじ
YoastSEOとは?無料版で何ができる?
YoastSEOは、WordPressのSEO対策機能をまとめて管理できる定番プラグインです。
タイトルやメタディスクリプションの設定、XMLサイトマップの自動生成、構造化データ(スキーマ)の最適化まで、検索結果に関わる要素を一つのダッシュボードで扱えるのが特徴です。
テーマやプラグインに分散しがちなSEO設定を一箇所に集約できる点が、最も大きなメリットです。
YoastSEOは日本語サイトでも使える?
結論として、問題なく使えます。
YoastSEOは海外製ですが、タイトルやメタの最適化、OGPの設定、XMLサイトマップの生成など、日常的なSEO業務は日本語サイトでもそのまま使えます。
特に、Google検索結果の表示を模したプレビュー機能は、日本語のタイトル作成時でも実務的に役立ちます。
ただし、文章の可読性やキーワード密度を評価する「SEO分析」機能は、日本語の文法構造に完全には対応していません。
スコアは参考程度にとどめ、後述する「スコアに依存しない使い方」を前提に活用するのが安全です。
初心者は無料版で十分
YoastSEOには無料版と有料版(Premium)がありますが、ほとんどのユーザーは無料版で問題ありません。無料版でも以下の“SEOの土台”となる機能がすべて利用できます。
- タイトル・メタディスクリプションの設定
- XMLサイトマップの自動生成
- 基本的な構造化データ設定
- Open Graph(OGP)やXカードデータ(旧Twitterカード)の設定
Premium版では、複数キーワードの最適化、内部リンクの提案、IndexNow への自動連携など追加機能が利用できます。
便利ではありますが、必須ではないため、サイトが成長し「効率化したい」「運用面を強化したい」と感じた段階で導入を検討すれば十分です。
初期設定の4つの項目
YoastSEOをインストールして有効化したら、まず最初にサイト全体の基盤となる4つの設定を済ませましょう。細かい調整は後からでも問題なく、ここを押さえておけば投稿時のSEO設定がスムーズに進みます。
SEOデータの最適化
YoastSEOを初めて有効化すると「SEOデータの最適化」を促す画面が表示されます。これは、記事データや内部情報をスキャンし、プラグインが最新の形式で動作できるように整える作業です。
やることは ボタンを押して処理が終わるのを待つだけ で、数十秒ほどで完了します。
サイトの表現
ここでは、運営形態に応じて「個人」または「組織」を選択します。この設定は、構造化データ(スキーマ)に反映され、検索エンジンにサイトの種類を伝える役割があります。
設定項目
- 個人 or 組織の選択
- サイト名の入力
- 組織を選択した場合のみ組織名の入力欄が表示
- ロゴ画像の登録
最初に必ず設定しておきたい基本情報です。
ソーシャルプロフィール
ソーシャルプロフィールでは、運営しているSNSアカウントをYoastSEOに登録できます。
ここで設定した内容は構造化データとして検索エンジンに伝わり、サイト運営者の情報を補足する役割があります。
前項で「個人」か「組織」を選んだかによって、設定画面の構成が変わります。
- 個人を選んだ場合
WordPressのユーザー情報がそのまま反映されるため、Yoast側で入力する項目は最小限です。 - 組織を選んだ場合
X(旧Twitter)やFacebookのURL入力欄が表示され、必要に応じてInstagramやLinkedInなど、その他のSNSアカウントも追加できます。
SNSをすべて登録する必要はありませんが、普段から運用しているアカウントがある場合は登録しておくとメリットがあります。
検索エンジンが運営者情報を正しく理解しやすくなるため構造化データの精度が上がり、SNS上での信用補強にもつながります。
また、OGP取得が安定することで、記事を共有した際の表示崩れが起きにくくなる点も実務上のメリットです。
好みの設定
最後に、Yoast側から案内されるオプション設定が2つあります。
- ニュースレター受信設定(E-mail入力)
- Yoastへのデータ共有を許可するかの選択
SEOへ直接影響しないため、どちらも 好みに応じて設定すればOK です。
実務ではオフにしておくケースが一般的です。
YoastSEOで使うべき3つの機能
YoastSEOには多くの設定項目がありますが、初心者がすべてを理解する必要はありません。ほとんどの項目はデフォルトのままでも問題なく、まず押さえるべきポイントは“SEOの土台として使う3つの機能”です。これらが有効になっていれば、検索エンジンへの伝達、SNSでの表示、投稿時のメタ設定といった基本的なSEO運用は成立します。
XMLサイトマップ
XMLサイトマップは、サイト内のページ構造を検索エンジンに伝えるための仕組みです。新しく公開した記事も自動的に反映されるため、検索エンジンがページを見つけやすくなります。
YoastSEOではサイトマップを自動生成してくれるため、オンにしておくだけで十分です。生成されたURLをGoogle Search Consoleに登録しておくことでクロール効率が上がり、新規ページのインデックスも安定します。
Open Graph と Xカードデータ(OGP)
OGPは、記事がSNSでシェアされた際に表示されるタイトル・説明文・画像を最適化するための機能です。ここが整っていないと意図しない情報が表示され、クリック率が下がる原因になります。
YoastSEOでは、SNS向けのOGPデータを自動生成できるため、SNS運用をしているサイトでは特に重要です。テーマ側にOGP機能がある場合はそちらが優先されますが、どちらにしても設定を把握しておくことで、シェア時の表示崩れを防ぎやすくなります。
SEO分析(Analysis)
SEO分析機能では、タイトルの長さ、内部リンクの不足、メタディスクリプションの有無など、記事作成における基本的な確認事項をチェックできます。初心者にとっては最低限のチェックリストとして役立ちます。
ただし、表示されるスコアはあくまで目安であり、緑にする必要はありません。特に日本語では誤判定が起きやすく、これをSEO評価として扱うのは誤りです。この点については H2-6 で詳しく解説します。
その他の設定は“必要になったとき”で十分
投稿設定、アーカイブ設定、RSS設定など多くの項目がありますが、サイトの運用方針が固まるまでは無理に触る必要はありません。とくに海外サービスとの連携機能は日本のサイトでは使わないケースが多く、オフのままでも問題ありません。
まずは、この3つの機能を確実に押さえておけば、YoastSEOを使った基本的なSEO運用は十分に行えます。
投稿画面で設定すべき3つの項目
YoastSEOの初期設定が終わったら、次は「記事投稿画面で毎回行うSEO設定」です。
ここで調整する3つは、検索結果の見え方に直結し、SEOのクリック率に大きく影響します。
複雑な操作は不要で、この3つさえ押さえておけば十分です。
スラッグ(URL)の最適化
スラッグは記事URLの末尾に表示される文字列で、検索結果にも表示されます。
ポイント
- 英単語で短く(1〜3語)
- 日本語スラッグは避ける
- 自動生成の長過ぎるURLは必ず修正
検索エンジンだけでなく読者のクリック率にも影響するため、必ず投稿前にチェックすべき項目です。
SEOタイトルの調整
YoastSEOの「タイトル」欄で、検索結果に表示されるタイトルを編集できます。
最適な文字数:30〜35文字
Googleの検索結果で途切れずに表示される範囲です。
書き方のポイント
- 左側に検索意図のキーワード
- 30〜35文字で完結
- 訴求ポイントを1つだけ入れる
- 装飾より「内容の具体性」を優先
YoastSEOのプレビューを見ながら、クリックしたくなるかどうかを基準に調整しましょう。
メタディスクリプション
メタディスクリプションは、検索結果でタイトルの下に表示される説明文です。
最適な文字数:100〜120文字
書き方のポイント
- 読むメリット(ベネフィット)を提示
- 検索意図に沿った言葉を自然に含める
- 記事の“要約”ではなく“読む理由”を書く
- 主語の省略などで無駄な文字を削る
空欄のままだと本文が勝手に抽出されるため、必ず毎回入力するのがおすすめです。
フォーカスキーフレーズ
フォーカスキーフレーズは、YoastSEOが記事内容をチェックするための“目安キーワード”です。
実務ポイント
- 入れても入れなくてもSEO順位には影響なし
- 自分のためのチェックリストとしては使える
- スコアは気にしなくていい(H2-6で解説)
必要に応じて使う程度で十分です。
スコアとキーフレーズの扱い方
YoastSEOを使っていると、記事投稿画面に出てくるスコアやフォーカスキーフレーズ評価が気になる人は多いですが、これらは検索順位に影響しない補助機能です。
ここでは、実務でどう扱うべきかを“最重要ポイントだけ”整理します。
キーフレーズは確認用でOK
フォーカスキーフレーズは、Yoastに「この記事はこのテーマで書くよ」と伝えるための項目です。
ただし、ここに何を入力しても SEO効果はゼロ。
順位に影響する仕組みではありません。
実務では、以下の“チェック用”として軽く使うだけで十分です。
- タイトルにキーフレーズが入っているか
- メタディスクリプションに自然に含まれているか
- キーワードの入れ忘れがないか
つまり、キーワード配置の見落としを防ぐ“自分用チェックリスト”の位置づけです。
これ以上の役割を求める必要はありません。
スコアは日本語判定がズレる
Yoastの採点は、そもそも 英語圏の文法構造を前提に設計 されています。
そのため、日本語では以下のようなズレが起こります。
- 文の長さや構造の判定が不正確
- キーワード密度の要求が不自然
- 内容理解が浅く、方向性の違う指摘が出る
この“ズレた評価”を無理に緑に合わせようとすると、
- 不自然なキーワード詰め込み
- 読みにくくなる
- 検索意図とズレる
という逆効果が発生します。
実務では、Yoastの評価項目の中で本当に見ているのは以下の3点だけです。
- SEOタイトルが30〜35文字で収まっているか
- メタディスクリプションが100〜120文字に収まっているか
- スラッグ(URL)が短くて記事内容と整合しているか
これらは検索結果のクリック率やサイト構造に直結するため、Yoastの中でも最重要。
一方、スコアそのものは気にしなくていいというのがプロの結論です。
YoastSEOを実務で使うポイント総まとめ
本記事では、YoastSEOを実務で使ううえで重要な、初期設定の4つと、最初に有効化しておきたい3つのコア機能に絞って解説しました。YoastSEOは複雑なSEOツールではなく、煩雑になりがちな設定や文字数チェックを自動化してくれる、いわば “作業を楽にする補助ツール” です。
特に重要なのは、投稿時の タイトル と メタディスクリプションの長さ を整えること。この2つが検索結果のクリック率を左右し、記事全体の評価にもつながります。一方で、YoastのスコアやフォーカスキーフレーズはSEO評価とは無関係であり、気にする必要はありません。
補助機能に時間を使うよりも、検索意図を満たす良質な記事作りに集中することが、SEOで成果を出すための最も重要なポイントです。必要な設定だけ押さえつつ、次のステップとして検索意図の記事へ進み、SEOの本質をさらに深めていきましょう。

